モンステラの株分けとは?まずは基本を理解しよう
モンステラはその力強い成長力から、室内植物のなかでも特に「育ちすぎてしまう」悩みが多い植物のひとつです。鉢いっぱいに根が張り、葉が部屋の天井に届きそうになってきたとき、株分けはサイズを整えながら新しい株を増やせる、一石二鳥のケア方法とされています。
株分けとは、親株から子株や脇芽を切り離し、それぞれを独立した鉢へ植え替える作業のことです。挿し木とは異なり、ある程度育った状態の株を分けるため、成功率が高く初心者にも取り組みやすい方法として注目されています。日本のマンションや賃貸住宅のように限られたスペースでモンステラを楽しんでいる方にとって、株分けは「植物との長い付き合い方」を考えるうえで欠かせない技術と言えるでしょう。
株分けに適した時期は?季節と株の状態を見極める
モンステラの株分けに最も適しているとされるのは、生育が活発になる5月〜8月の初夏から夏にかけてです。この時期は気温が20〜30℃前後で安定しており、切り口からの回復が早く、新しい根が出やすい環境が整っています。特に6月前後は梅雨の湿度もあいまって、発根を促す条件が揃いやすいと言われています。
逆に、気温が15℃を下回る秋以降から冬にかけての作業は避けるのが無難です。モンステラは熱帯アメリカ原産のため寒さに弱く、株分け後のダメージを回復する力が著しく落ちてしまいます。「葉が元気そうだから大丈夫」と思っても、根や切り口へのダメージは目に見えにくいため、できる限り暖かい季節を選ぶようにしましょう。また、直近に植え替えをしたばかりの株や、病害虫の被害を受けている株は体力が落ちているため、回復してから作業するのが理想です。
代表的な品種と、株分け時のポイントの違い
一口に「モンステラ」と言っても、その種類はさまざまです。株分けの前に自分が育てている品種を把握しておくと、作業がよりスムーズになります。
- モンステラ・デリシオサ(Monstera deliciosa)
最もポピュラーな品種で、大きく切れ込みの入った葉が特徴です。成長が旺盛で、1〜2年で鉢がパンパンになることも珍しくありません。茎が太く脇芽も出やすいため、株分けの難易度は比較的低め。気根(きこん)が複数ある場合は、気根ごと分けると発根しやすくなります。 - モンステラ・アダンソニー(Monstera adansonii)
葉に穴が開いたような独特の模様が人気で、コンパクトに育つためマンションに向いているとされます。デリシオサに比べて茎が細く、株分け時に傷つけないよう慎重に扱う必要があります。子株が密集して生えやすいため、込み合ってきたタイミングで分けてあげると株全体が健康に保たれます。 - モンステラ・タイコンステレーション(Monstera deliciosa ‘Thai Constellation’)
クリーム色の斑入り模様が美しい希少品種で、近年インテリアグリーンとして非常に高い人気を誇ります。成長がやや遅めで価格も高いため、株分けは慎重さが求められます。切り口からの雑菌感染に特に気をつけ、必ず殺菌済みの道具を使うようにしましょう。
どの品種においても、株分け前に品種の成長スピードや茎の特性を理解しておくことが、失敗を防ぐ最初のステップと言えます。
株分けの手順|準備から植え付けまでを丁寧に
実際の作業手順を確認していきましょう。道具と手順をしっかり整えておくことで、株へのストレスを最小限に抑えることができます。
- 【準備するもの】
清潔なハサミまたは剪定バサミ(使用前にアルコールで消毒)、新しい鉢(元の鉢より一回り大きいもの)、観葉植物用の培養土、鉢底石、必要に応じて活力剤や発根促進剤。 - 【STEP1】水やりを控えて土を乾かす
作業の2〜3日前から水やりを控え、土をやや乾燥させておくと根が抜けやすくなります。土が湿った状態だと重くなり、根を傷つけるリスクも高まります。 - 【STEP2】株を鉢から取り出す
鉢の縁を軽く叩きながら、株を丁寧に引き抜きます。根を無理に引っ張らず、土を少しずつほぐしながら作業するのがコツです。根が絡まっている場合は、水で洗い流すと全体の状態が確認しやすくなります。 - 【STEP3】根を観察し、分ける場所を決める
根全体を確認し、傷んだ根(黒ずんでいる・ぐずぐずしている)はこの段階でカットしておきましょう。子株や脇芽を探し、根が複数ついているものを選んで分けます。根が1〜2本しかない子株は、もう少し育ててから分けた方が安心です。 - 【STEP4】切り口の処理をする
切り離したら、切り口に園芸用の殺菌剤(ベンレートなど)や木炭の粉を薄く塗布し、雑菌の侵入を防ぎます。30分〜1時間ほど日陰で乾燥させると、さらに安心です。 - 【STEP5】新しい鉢へ植え付ける
鉢底に鉢底石を敷き、培養土を入れて株を安定させます。深植えになりすぎないよう、茎の付け根が土の表面とほぼ同じ高さになるよう調整しましょう。植え付け後はたっぷりと水を与え、明るい日陰で管理します。
株分け後のケア|焦らず見守ることが大切
株分け直後のモンステラは、根が新しい土に慣れるまでの「活着期間」があります。この間はおよそ2〜4週間、直射日光を避けた明るい日陰に置き、乾燥しすぎない程度に水管理を行うのが基本とされています。肥料は活着が確認できるまで与えないのが無難で、新しい葉が動き始めたら順調なサインと考えてよいでしょう。
日本の住環境では、夏の西日が強く当たる窓際や、エアコンの風が直接当たる場所は避けることをおすすめします。特に株分け後は葉からの水分蒸発が増えやすい状態のため、できる限り温度・湿度ともに安定した場所に置いてあげると回復が早まります。リビングの間接光が当たるコーナーなどが理想的な置き場所のひとつです。
株分けは植物にとって少なからずストレスのかかる作業ですが、適切な時期に丁寧に行えば、親株も子株もより健やかに育っていきます。「うまく育てたい」という気持ちと同じくらい、植物のペースに寄り添う余裕を持つことが、長く緑を楽しむ秘訣かもしれません。
UnsplashのThimo van Leeuwenが撮影した写真